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[2016.7-Vol.45] WEBSC心の相談について

70年ぶりに選挙権年齢が引き下げられましたIMG_7611s

 昨年、70年ぶりに選挙権年齢を現在の20歳以上から18歳以上に引き下げる「改正 公職選挙法」が成立しました。これにより今月10日の参議院議員選挙から18歳以上に選挙権を持つこととなりました。
【必ず投票に行くようにしましょう。】
http://www.soumu.go.jp/18senkyo/

もちろん、これは一度のことではありません。これが始まりで、今後、地域のたとえば、市長・市会議員選挙、知事・府議会議員選挙などに投票することとなります。
必ず足を運んで投票しましょう。投票時間はあさ7時~よる8時までです。
◆写真は、本学A3棟に掲げられた学生向けの第24回参議院議員通常選挙投票への垂れ幕です。

 また、当日いろいろな理由で行けない場合は、「期日前投票」という制度があります。今回の選挙でも、すでに「期日前投票」の受付は始まっています。
こちらは、総務省・期日前投票制度の概要です。ご参考にしてください。
総務省・期日前投票制度の概要
そして、選挙演説など立候補者・政党の考えを聞いて投票に向かいましょう。

さて、世界に目を向けるとほとんどの国(176か国)で、18歳までに選挙権を与えています。
先日、行われたG7の伊勢サミットへ訪問した国では、日本以外18歳でした。

参考出典:18歳から選挙権 のページより
http://senkyo18.jp/study/suffrage.html

(WEBSC)


「WEBSC心の相談について」 

 WEBSCの菊池です。久々の記述になりましたが、今年度で府立大では9年目を迎えました。WEBでの学生相談対応には、伝統的な臨床心理学の要素と電子メディア(ネット社会)という現代的な要素との間の葛藤を両立するという挑戦的な面が存在したために、本学に勤めてからの数年は、妙な不安感を抱えていたこともありました。しかしながら、時を経て、次第に私自身の考え方や状況にも変化が生じてきました。今現在は、WEBを活用した学生相談対応の営みにはそれ特有の強みがあると確信しています。

 また、相談形式という大枠の対応上における(巨視的な)違いを分析することから、臨床的実践に本質的に含まれている細やかな(微視的な)次元での慣習(ritual)との間の緊張関係を、改めて検討することも可能になるのではと推察しています。

 ここからは、昨年度一年間のWEBSC心の相談の実績について、簡潔にご紹介したいと思います。年間の学生相談業務関連の相談延べ件数は1097件でした。主訴としては、精神衛生が最も多く、何らかの精神的な不調に悩んでいる学生さんに関連した相談が、高い数値を示す結果となりました。年単位の経過が必要な場合もありますが、結果的にメールやTV電話でのカウンセリングにより、症状が緩和したと思われる事例もあれば、症状の性質から医療機関を紹介させていただいた方が得策と判断した場合は、できる限り迅速にそのように対応しています。また、WEBという相談形式により、これまでは相談に繋がらなかったような相談にも対応している面が、少なからず存在すると考えられます。

 それを示すデータのひとつとしては、学生さんからのメール相談の受付時間が挙げられます。昨年度の学生さんによる勤務時間外でのメール相談は、約56%と半数を超える結果でした。例えば本学は理系の学部・学域と研究科が存在するため、実験等を扱うまとまった研究時間帯については、通常の対面相談では予約上時間的なハードルになる可能性があります。実際に、このようなハードルへのメールカウンセリングの利便性について言及してくれた学生さんもこれまでに確認しています。この結果が、そのようなニーズへの重要な‘対応実績’のひとつになりえると、現在私は見立てています。また、海外留学中に精神的な不適応に悩んでいた学生さんからのメールカウンセリングによる対応実績も存在します。時差という条件を考慮するだけでも、WEBでの学生相談対応にはそれ特有の‘強み’があるといえるでしょう。

 最近は、日々の生活の中で、ブランドという現象に関心を持っています。例えば、アルマーニ(ARMANI)の服の数々。紳士服の厳格で構築的(立体的)な一面とそれと相反するような柔らかな優しさが織りなすその洗練された美しさが、控えめながらも着るものの心に鮮やかな輝きを与えているように思われます。山田(2006)はブランドの成立の条件として、伝統と現在性(モード)との間の相反する要素の共存というアクロバティックな妙技の存在や希少性、そして有名性について言及しています。確かにこれらの要因は、上記の現象を説明するだけでなく、現代に存在する様々なブランドにおいても重要な価値を与え続けているように見受けられます。

 その意味では、全国でも数少ない試みであり(希少性)、一流の新聞各紙にもその試みを丁寧に掲載いただいたことのある(有名性)、伝統と現代性の両方の資源の両立が求められるWEBSC心の相談は、ブランド成立の条件とも深く関わるのかもしれません。本学の学生さんへの心理的な支援を業務の基本としつつも、最善をつくすなかで結果的に本学のブランドイメージの向上に少しでも貢献できればと心から願っています。

菊池秀一

 

参考文献

  1. Hoffman,I.Z.(1998).Ritual and Spontaneity in the Psychoanalytic Process.
    The Analytic Press,Hillsdale,London.
  1. Kohut,H.(1977).The Restoration of the Self . University of Chicago Press ./ 本城秀次・笠原嘉監訳(1995).『自己の修復』みすず書房.
  2. Kohut,H.(1984).How does analysis cure ? University of Chicago Press./本城秀次・笠原嘉 監訳(1995).『自己の治癒』みすず書房.
  3. MEN’S EX NO.198.(2010).世界文化社.
  4. MEN’S EX NO.259.(2015).世界文化社.
  5. 向千鶴 編.(2015).『WWD JAPAN SPECIAL ISSUE GIORGIO ARMANI 1975-2015 40th 「アルマーニ/シーロス」オープンレポート』
  6. 岡野憲一郎.(2002).『中立性と現実』岩崎学術出版社.
  7. 山田登世子.(2006).『ブランドの条件』岩波新書.

 

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